韓人の衣染むといふ

【原文】

韓人(からひと)の (ころも)()むとふ (むらさき)の (こころ)()みて 思ほゆるかも
大和(やまと)へに 君が立つ日の 近づけば 野に立つ鹿(しか)も (とよ)みてそ鳴く

麻田連陽春

【現代語訳】
韓人が衣を染めるという、紫の色のように、あなたのことが心にしみるように懐かしく思われます。
大和へとあなたが出発される日が近づいたので、別れをしのんで、野に立つ鹿までもあたりに声を響かせて鳴いています。