東の野にかぎろひの立つ見えて

【原文】

ひむがしの 野にかぎろひの 立つ見えて かへり見すれば 月かたぶきぬ
阿騎あきの野に 宿る旅人 打ちなびきらめやも いにしへおもふに

柿本人麻呂

【現代語訳】

東の野の夜が明けようとし、明るくなってくるのが見えて、西の方を振り返ってみると月は山の端に傾いています。
安騎の野に仮寝をする旅人は、くつろいで寝ることができましょうか。いや、眠れはしません。昔の日々が思い出されて。